<   2012年 08月 ( 1 )   > この月の画像一覧

中規模な津波被害を想定した家

d0067498_20281046.jpg

2011年2月後半に、沼津市千本港町の施主から木造住宅の設計の依頼があった。

その後間もなく、3月11日の東日本大震災が起こった。沼津港近くのこの家にも、避難勧告が出された。

数週間後、東海大地震が起こると、沼津市沿岸部には、駿河湾の中では最大級の津波が来ると言われていた。

群馬県で生まれ育った奥さんは、家を建てることにナーバスになっていた。

ただ、ご主人は、生まれた時からその地で育ち、ご両親、祖父母も一緒に暮らしていたこの地を、簡単に離れることはできないと言った。

d0067498_2045210.jpg

私も先祖代々住み続けてきた、海辺のまちの良さも悪さもよく知っている。

ご主人の気持ちは痛いほどよく解かる。

どう知れば、家族みんなが心地よい暮らしができるか?

どのような家が望ましいのか?

何度も何度も考え続け、東北の震災被害の住宅相談にも出掛けた。

ニュースには取り上げられていない、中規模な津波被害の家の調査と建物補強の設計アドバイスをした。

d0067498_20455936.jpg

現地でみてきた建築知識をまとめると、それは常に教科書で設計の注意点として指摘している内容が殆どであった。

まずは教科書や静岡県の構造指針にのって、設計をすすめること。

細かいことでも、苦にせずに取り組むこと。

場所柄、液状化の検討を行い、様々な角度から検討する。

地盤は盛土ではなく、基礎を高基礎にして、人がメンテナンスできる床下を作り出すこと。

更には、万が一、床上浸入になっても、床の断熱材を簡単に外して、床下・床上を乾かせば、元に戻るように、1階部は下地材も含めて無垢材採用した。

津波被害を考慮して、1階部には、掃出し窓を設けていないが、圧迫感のない、心地よい空間ができ、外ともつながっている大らかさを出すこと。
単に窓の少ないシェルターにしない。

d0067498_20415763.jpg

何より家を小さくコンパクトにまとめ、出来るだけコストは掛けず、大津波がきた時は「逃げる勇気」を持てる家にしたいと、何度も何度も話った。

ただし、コストは出来るだけ抑えながらも、平常時は心地よく、家族が仲良く暮らせる家であることは大前提である。

隣に住むご主人のご両親も、子供たちも皆、笑顔で一杯になっている。

群馬に住む奥さんのお母さんや姉弟さんたち家族も、この夏、沼津を訪れるそうだ。
by atelieryou | 2012-08-16 21:09 | 住まい

静岡・沼津で木造住宅を中心に設計監理しています。


by atelieryou
プロフィールを見る
画像一覧
通知を受け取る