<   2011年 05月 ( 5 )   > この月の画像一覧

木の建築賞

d0067498_14144511.jpg 5月22日に東京大学・農学部弥生講堂・一条ホールで木の建築賞の受賞式が開かれた。
太陽山荘は、審査員特別賞となり、施主も私も太陽山荘の耐震工事ではBEST賞ではないか思っている。
表彰式では、審査委員長の播繁先生が太陽山荘だけ異例にも特別なコメントで表彰してくれた。
「審査員一同、どうしても賞をあげたかった」と褒めてくれ、会場は和やかな雰囲気に包まれた。

d0067498_1423816.jpg 今回の木の建築賞の受賞式では、東日本大震災での木の建築に関わる研究者の報告や、首都圏の設計事務所の人達の活動、現地の建築家からの声などの発表が聞けた。
皆、建築に関わる者として、迅速に行動を起し、実行に移している。
仮設住宅を木造でつくるプロジェクトを計画するなど、各県の状況や考え方は様々だが、志を同じにする者が協力し合った時の力の大きさを改めて感じた気がする。「私もがんばらないと」と、自分を鼓舞できた。
 これから設計が始める沼津港近くの木造住宅をどのようにつくっていくべきかと、私も会場に投げかけてみたら、東京大学の名誉教授である坂本功先生をはじめ、国土交通省の槌本敬大さんからのアドバイスをもらった。
 昨日は建築士会の沼津地区でも、地域の人と協力し、いかにして避難できるかを一緒に考えていくような活動を計画しはじめた。

d0067498_14462039.jpg 木の建築賞の記念の楯として、第二次審査の開催された小田原市にあるアート工房作、欅の漆塗りのオブジェをいただいた。
年月が経つほど、木と漆から味わいが出てくるそうだ。
これは私が持っているよりも、太陽山荘に飾ってもらおうと思っている。
建築をつくるときに、建主の想いがあってこそ、私達建築家は活かされる。特に古い建物では、新築より評価が表れにくい。建主の理解があってこそだ。
審査委員の講評にもあったが、「このような木造和風旅館に対して多額の工事費を投入し、安価な入浴料と歴史的な木造建築を維持した施主の思い入れにも敬意を表したい」
私も同感である。
by atelieryou | 2011-05-24 15:13 | 設計

朝霧高原の地域資源を活かす

5月15日は富士宮市朝霧高原にある、井之頭中学で開催された、東京農業大学エクステンションセンターのオープンカレッジ 参加協働型講座「富士金山の里の地域」づくりの基調講演を聞きに出掛けた。
講演は筑波大学教授の安藤邦廣先生で、テーマは「茅葺き文化の再生による地域活性化」であった。
d0067498_18574364.jpg

茅葺きというと、古臭いとか、不燃性がないと思ってしまうが、安藤先生の話を聞くと、建築面では科学的にもかなりのエコロジカル商品で、農業としては堆肥としてもバークよりも優れてた性能があり、エネルギー問題としては、今後はさらにペレットストーブやバイオマスでの資源としても必要とされる、自然循環型植物だと解った。
ヨーロッパでは、屋根の断熱だけなく、壁の断熱材としても仕様されているそうだ。
d0067498_1901041.jpg

富士山麓一帯は、全国の文化財修復に使う質のよい「茅」の産地であり、国立公園でもある地域の景観保全や生物多様性の確保、茅葺き文化の再生・継承といった観点から、朝霧高原の「茅場」が注目されるようになってきているという。
私は、林業家の竹川将樹氏とは10年前より知り合い、東京農業大学西富士農業の跡地利用について、富士宮市役所をはじめ、様々な人の意見をまとめて、竹川氏に伝え、建築的な観点から「ふもっぱら」に関わってきた。
東京農業大学の麻生恵教授や木村悦之准教授は、5年以上の時間をかけて、朝霧高原全体の地域のあり方について、地元の皆さんと一緒に研究し続けている。麻生先生のレジメにも書いてあったが、朝霧高原らしい景観の創出とは何か?様々な機能の重ね合わせ、環境(景観)のブランド化、地域らしさの発信とは何か?
そして何よりも集落景観のあり方や背景となる森の扱いは何かと問いかけている。
私も地域づくりにはその部分が大切だと思うが、その核になる何かを見つけ出すのは本当に難しいと思う。
建築も長い期間が必要だが、まちづくはそれ以上に長い時間が必要だし、その地域の人々に共通の価値観を認識してもらうことは地道な作業だと思った。
来年には、いよいよ「ふもとっぱら」のセンターとなる建物の設計が始まりそうだが、私たち設計者も協働でつくり上げていくような意義あるものにしたい。
安藤先生とは、来週も木の建築フォラムの木の建築賞の受賞式があり、お会いする。建築業界は狭く、いろいろな人とつながっている。
特に私は、周りの人が惜しげなく、よいアドバイスをくれるので、いろいろと助けられている。
「つながり」に感謝し、これからも大切にしていきたい。
by atelieryou | 2011-05-17 19:36 | 地域

被災地住宅相談:健全な建築士・設計士の必要性

d0067498_0223918.jpg
d0067498_0225730.jpg
今週末2日間、茨城県の被災地住宅の補修相談に出掛けた。上部は北茨城市の津波被害があった家である。
海を目の前にしているが、隣の家は壊されているが、この家では生垣があったおかげで、外部は津波が1メートル以上の高さまできていたが、津波による大きな被害は殆どなかった。私が行ったことで、家族でもメンテナンスできる方法を教えることができた。
ただし、問題は残る。津波による被害ではない、設計の段階で、設計者が検討しなくてはならい内容による落ち度から、家が傾いている。1階の傾きもさることながら、2階もさらにひどいが、これは地震云々の問題ではない。その家のご主人は、実は地震前から気になっていたという。
相談に伺った家は、2日間で4件行った。どの家も、地震より表面化した問題が多いが、私から見ると、地震の問題ではなく、設計の問題であり、それも建築設計をする者ならば、当たり前に知っているだろうと思われる知識である。ある意味、人災だと感じた。
伺った全ての家は、施主が思い入れを込めて建てた家であることは伝わってきたし、どの家も、金額的にも安かろう悪かろうの家ではないことはプロとして査定はできた。
工務店は「自然災害だから、責任はない」というそうだ。設計者は工事側の下請けのため、工事に反論することもできない。
私が現地を見て、誰にでもわかるように、何故そのようになるのかを説明し、補強方法のアドバイスをした。皆、本当に喜んでいたし、感激していた。
ただ、本来はそうではない。しっかりと設計者が始めの段階で設計し、施主の希望にもできることとできないことを明らかにするとか、工事に対しても設計者としてきっぱりと指示や指導ができていれば避けることができた問題である。
被災してはじめて解ることだと言っていたが、多くの人は薄々は何処かで気になりつつも、気がつかないふりをしていた結果なのかもしれない。姉歯事件で、工事と設計者の分離が法律化されたが、まだ社会には浸透していない。
d0067498_171235.jpg

ひたちなか市の家では、築1年10ヶ月の家自体は殆ど無傷なのに、擁壁が孕んでいて、家がそのまま転倒する恐れがある。補修方法も含めて、様々な状態を整理していくと、私から見ると建築関係者の意識の薄さから発生した問題だと思えた。施主もこのようなことが起こると、多重の債務を負担する。少しでも安く、でも質がよいものをつくったつもりが、肝心の設計が抜け落ちているため、それ以上の多くのお金が必要になる。
建築をつくることは、多くの要素が折り重なっている。
この調査をして改めて思ったが、私に設計の仕事を依頼してほしいとかの問題ではなく、これから建築をつくりたいと考えている人は、自分が信頼できる設計事務所に設計を依頼して、平常時も非常時もよりよいバランスのよい家を建ててほしい。まずは建築設計事務所に建築の設計を委託しよう!!
by atelieryou | 2011-05-10 01:15 | 設計

津波と住宅

 今日は、沼津の千本の施主を通して知った、同じく千本の工務店の社長がアトリエを訪ねてきてくれた。はじめて会ったが、お互いに、かつては東京で、木造住宅が得意な設計事務所に勤務していた事を知っていたことで、何処か共通点があり、話は弾んだ。何よりも、好きな建築の話ができる相手だったこと、設計事務所と工事請負業者の役割をお互いに同じ認識で理解したいたことで、建築の問題をより深く掘り下げて話し合える人と新しく出会えた事がうれしい。ちなみに彼は社長だが、工務店の3代目で、歳は私より10歳くらい年下の若者である。
d0067498_23354325.jpg話題は、沼津の沿岸部に家を新築することだった。施主も、工務店の社長も、私自身も、海から500メートルも離れていない場所に住んでいる。東海大地震が起こると、大津波が来ると言われている。この震災での津波の映像は誰もがショックだったが、だからと言って、祖先代々から住み続けているこの場所を離れる気はないし、彼らもないと言う。何故、離れる気持ちになれないであろう。たぶん、自分の五感全体で感じている、知らず知らずに「地域」の良さを理解しているからだろう。

それならば、沿岸部には、どのような家が望ましいかいい?
日経アーキテクチャーの写真を見ても、RCの2階建でさえ転倒させてしまう津波のエネルギーを考えると、住宅規模の建物ではどのような工法でも家の中にいたら、津波に飲まれてしまう。津波が来る前に、高い建物に逃げるしかない。

東京にいる私の先生にも何度も相談した。はじめは、高台に家をつくるように薦めればよいと言われた。私は「それは違う気がする」と即座に話した。それでは日本中の海辺の町はゴーストタウンになってしまう。確かに海は怖いが、それ以上に豊かであり、町や人の生活に潤いを与えてくれる。そのような私の反論に答えて、先日の朝、先生から新聞に奥尻島の町長の記事が載っていたと電話を掛けてきてくれた。奥尻島も津波の被害があったが、6割以上に人が元の海の近くに家を建てたという。私もすべてを元に戻すのは限界があると思うが、6割以上が元に戻るは必然の形だったように思う。
私は、私なりに考えに考えて、設計者として施主に話した。「基本性能はしっかり守りながらも、できるだけ経済的な負担を掛けない家をつくりましょう。万が一、多少の家に浸水あり、濡れたとしても、使える家にしましょう。」
先生もかなり考えてくれたがようだが、それがよりよい答えではないかと話してくれた。逆に、今こそ、設計者として、多くの人に説いていかなくてはならない。
工務店とも、今日、同じような話になった。彼自身も、今年、家を新築するそうだ。私たちに今できることは、お互いに協力して、この地域に、一つでも多くの、よい住宅をつくり上げていくことだ。施主も、私に設計を頼むのならば、30坪以下の小さな家でも、気持ちよく暮らせそうな気がしていると話してくれている。正直、先はまだまだわからないが、人が気持ちを同じくすることで、家がつくり上げられていくんだと改めて思えた。
新しい出会いと挑戦を大切にしていきたい。
by atelieryou | 2011-05-03 00:58 | 地域

心療内科ゆうゆう 待合にTV設置

d0067498_14235742.jpg
GWに入った。初日は沼津駅近くの心療内科ゆうゆうの壁掛けテレビやカルテの置き場である。先生や事務局長をはじめ、みなさん感じのよいスタッフで、患者さんに対応している。
先日、御殿場の緑映鍼灸院からも久しぶりに電話があった。御殿場はかなりゆれたようだが、瓦に塗り壁に家でも、地震による被害もなかったそうだ。御殿場の片田舎であっても、かなり盛況のようで、滝口先生の丁寧な診療と人柄から、人は集まってくるのだと思う。
いずれにしても、設計監理した施設が、利用者、特に患者さんから好評だと言われることはうれしい。
 私が様々な建築を実際みて、はじめて感じることがある。そこに漂う空気感だ。建築は人工物であるが、そこに取り入れる光や風、素材、それぞれが重なり合い、暖かい空気やゆるぎない時間を感じさせ、人の心をわくわくさせたり、落ち着かせてくれたり、幸せな感情を与えてくれる。建築家として、建築を設計する際にスタディーしなくてはならない、大きな課題である。
by atelieryou | 2011-05-01 14:56 | 健康

静岡・沼津で木造住宅を中心に設計監理しています。


by atelieryou
プロフィールを見る
画像一覧
通知を受け取る