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長谷川敬アトリエ 2010年忘年会+OB会

毎年恒例の長谷川敬アトリエの忘年会兼OB会が11月27日・28日の1泊2日で、箱根の太陽山荘で開かれました。
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 私の耐震改修工事の設計監理をした旅館で、私は恥ずかしさもありましたが、施主である太陽山荘も喜んでくれ、やはりうれしい会でありました。
 食事後に、10帖と8帖の続き間で、長谷川さんを囲んで車座になり、一人一人の近況を話しながら、それぞれに話に皆が耳を傾けて、そして率直な意見をいうと言う時間は、3時間以上に及ぶ長い時間でしたが、本当に有意義な時間でした。
 建築家が抱える問題やそれらの対処する姿勢、特に施主との関係、工事との関係など、誰もが実践の中で突き当たる課題に対して、様々な意見が出ることが面白く、考えさせられることが多かったです。
 
 小さなアトリエ事務所に切磋琢磨した仲間が、全国各地で、それぞれの仕事をしています。
私が東京で勤めた二つのアトリエ事務所を辞める時、どちらの所長も、同じ話をして送り出してくれました。
「設計事務所は小さな組織だけれど、同じ事務所で仕事をし、成長した仲間は、何処に行っても仲間で、もしも解らないことがあった時は、お互いに情報を交換してよりよいものをつくっていけば、それは大手にも負けないような力になる。何時でも連絡してきてよい。」

 私は思うのです。そんな大きな心の所長だから、みんなが集まってくるのだと・・・
建築の技術や考え方を学んだと同時に、人としての生き方を知らず知らずの間に教えてもらい、このOB会も自分の生き方の本質を何処かで感じるために、みんなに、一年に一回、逢いにいくような気がします。
by atelieryou | 2010-11-29 20:25 | 友人達

中間検査

d0067498_23314017.jpg 今日は、裾野の家の上棟後の中間検査。
建築では裾野市役所、建築の瑕疵担保保険の検査では、静岡県まちづくりセンターが検査に来てくれた。両方の検査員ともに、お世辞ではなく、よい家だと褒めてくれ、特にまちづくりセンターの検査員は、「久しぶりに本物の木のよい家を見た」と、一時間近く現場の木組を見ていた。
検査員が私に言った。「誰がよければ、こんなよい家が出来るのか?」
私は即座に答えた。「施主も、工事も、その他の建築に携わる関係者も、そして設計である私もよいからこそ、できることです。」
検査員は帰る時、私にやさしく告げてくれた。「この家は完成すると、もっとよい家になりますね。よい家になるだけの骨格がある。」
たくさんの現場を見て、現場を見慣れている人に、そのような言葉で褒めてもらうことは、設計者としてうれしいことであり、また完成の時に更に感動してもらえるような家にしたいと思う。


d0067498_23211659.jpg お寺の庫裡の台所のリフォームでは、先週の日曜日に壁の解体を終えた。
江戸時代に建立された建物で、今もしっかりとした梁は力強い。がしかし、台所などの水廻りは何度もリフォームが繰り返されている。その幾度かの工事で、管柱が切られ、柱が土台から主要な梁まで届いていない。
箱根の太陽山荘でも同じであったが、誰が悪いという話ではないが、リフォームが繰り返された家では、どうしてこのようなことになってしまうのか?建築に携わる者の意識の低さを感じずにはいられない。


d0067498_2333086.jpg 私は設計者として、ただのリフォームと言えども、この構造の躯体を、そのまま塞ぐことは出来ない。工事側は、構造用合板で2*4工法のように、面剛性で固めていけば、柱も不要でしっかりするという。確かに数値のみ見れば、耐震性は上がるだろう。間違えた意見ではない。
しかし、伝統工法でつくられた木造建築。今回は台所のみの一部工事だが、その部屋のみだけを考えての耐震補強もできない。私は、様々な資料を整理して、悩んだ末、伝統工法にも詳しい構造設計の先生に相談をした。
答えは工事側の意見とはまったく違った。伝統工法の建物では土台と柱、梁をまずは線で繋ぐことが大前提となる。合板の仕様は不可で、筋交いも不要。建物全体でゆっくりと揺れ、地震力を吸収する考え方とする。工事としては、補強材料はあまり必要はないが、それを補うだけの大工加工が必要になる。
この方法がこの建物には、今できる最善の方法だと私も考え、施主にも将来を見据えた、納得がいく説明ができた。
多くの人に知ってほしいのは、同じ設計者で、同じ構造設計者であるが、建物の形状や条件が違ければ、構造設計そのものの考え方を柔軟に切り替えなくてはならない。できれば、小さな建物でも、一から検証してほしい。

 今日、中間検査のあった裾野の家では、吹抜と階段室が近くにあるため、2階のホールがブリッジ状になる。建物の形状を考えて、構造計算も許容応力度計算を採用した。結果、2階の床は、909に組んだ梁格子に、24ミリの構造用合板+火打梁を施し、さらにブリッジには鋼材製の火打入れた床組である。
設計はもちろん私で、構造設計も上記と同じである。同じ木組の家だが、構造の考え方がまったく違う。
よく広告で、「○●は強い」とか書いてあるが、一概に何が強いとか、弱いとかは言えない。
大切なことは、やはり建物の本質を見極めて、様々な方面から考え、そして、しっかりと設計することである。
by atelieryou | 2010-11-18 00:12 | 設計

秋の果実のいろいろ

d0067498_0262678.jpgご無沙汰のブログです。
仕事を休んでいた訳ではなく、裾野の家の基礎工事監理、改修工事の工事契約成立のための見積調整など、仕事が大詰めであり、かつ9月中旬から今日までの間で、建築設計活動に関するまとめのような執筆やプレデンテーションなどが5つも重なり、それらの原稿を仕事の合間をみて仕上げていたので、どうしてもHPやブログまで、手が届かなかったのです。

d0067498_0325165.jpg 10月9日・10日には木の建築フォラム主催の木の建築賞の第二次審査が小田原でありました。箱根太陽山荘の耐震改修工事の発表をしたのです。私が、太陽山荘を木の建築賞に応募した動機は、建築の作品性として訴えたいのではなく、まちに普通にある、、古いけれども、よい木造建築が、今の形を大きく変えないで生き残っていくような建築全体のあり方を、社会的に考える切っ掛けとしてほしかったからです。
実は、この2年の間、太陽山荘での仕事を通して、ずっと疑問に思っていたことを、素直に話が出来ればよいと思い、この審査に臨んだのです。

 なんと、審査員である先生方全員がよいと評価してくれた。それも、たった10分のプレゼンテーションであったにも関わらす、審査委員長の播繁先生をはじめ、筑波大学の安藤邦廣先生たちは、私が伝えたかったことを、私以上に的確に理解してくれました。このことだけでも、応募した甲斐がありました。また、私の肩書きにとらわれずに、まめまめしく、あきらめずに粘る設計姿勢を高く評価してくれたこともうれしいことです。
 建築の制度の話や微妙なことは、一般の方には説明しにくく、理解しにくいことでありますが、本物のよい木造建築を、またよい町並みを残していくために、近くHPに掲載したいと思っています。

d0067498_0452171.jpg裾野の家では、昨日から土台を敷き、今日から丁寧に建て方が始まりました。
私は現場に行き、思わず「きれいな梁だね!!」と声をあげたのです。何十件も現場を見ていますが、ちゃんと選別した梁は、綺麗です。確かに、大工、製材所、設計者と多くの手間が掛かっていますが、それ以上の価値を生み出しています。
「考える」「みんなで考える」施工には、設計のこのようなこだわりは一見関係ないように思えますが、やはり現物を見ると、そのことを建築が語りかけているような気がしています。

PS 2010年11月4日の静岡新聞の夕刊「しずおか建築うんちく」に、私が執筆した「富士金山 竹川家門」が載っています。週明けにはHPに掲載しますが、できましたら、静岡新聞の夕刊の記事をご覧下さい。
by atelieryou | 2010-11-05 01:05 | 設計

静岡・沼津で木造住宅を中心に設計監理しています。


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