2011年 11月 01日
JIA静岡 日本基督教団掛川教会教会堂 設計コンペ
本当に苦しい。
自分の設計力との闘いで、いつも完成した図面を見て、「どうして上手く表現できないのだろう」と提出する前から反省したり、結果発表では施主や主催者が望む要望と、自分自身の視点が違うことに気付かせられることが多かった。連戦連敗で、その度に反省し、当分はコンペは遠慮しようと思いつつも、公平に設計を評価してくれる公開コンペがあると知ると、私は苦しくて、大変だとは知りながらも、設計者として自分をあきらめることは出来なかった。
様々な立場の人がアトリエ結の設計に協力してくれた。東京の設計事務所時代の同僚をはじめ、静岡県の構造事務所、設計に合せて工事費を計算してくれた者、模型を作ってくれた若い大工さん達、学生時代の友人であるパース屋、そして家族。みんなの協力があったらこそ、建築はバランスよく纏まる。
ただし、設計している最中は、皆、ギリギリまで追い込まれるので、かなり過激な発言も出てきてしまう。もう嫌だと思いながらも、あきらめずに一つの目標を目指して、つくり上げていく。
私は、友人からの電話で、自分の受賞を知った。みんな、自分のことのように喜んでくれたことが、さらにうれしかった。
私を設計者として選んでくれたは、掛川教会の皆さんをはじめ、コンペの実行委員の皆さんにも感謝したい。
本来は出来るだけ近い地域の建築家が責任を持って、その建築を見守るべきである。特にアトリエ結のような小さな事務所では、実績もないため、ステージに登ることすらできない。
今回、地方の小さい事務所でも、必死で取り組めば、よりよい建築ができる可能性を持っていることを、社会的に課題として投げかけ、何よりも地域にいる建築家や設計者も、がんばれば機会が与えられるという勇気を与えたコンペだと思う。
私自身は何よりも建築の設計とは何かという、基本であり、難しい課題に向き変える、「建築設計」を生業にする者が純粋に原点に戻れる場所や機会を与えてくれたことに感謝している。
前回の時も思ったが、掛川教会の設計コンペにおける社会的な功労者は、JIA静岡のコンペの実行委員会の皆さまであり、特に鳥居久保会長だと思う。自分自身が設計できる立場でありながらも、他の設計者が設計に向き合える機会を与えてくれたのだから・・・
私は、多くの皆さんの思いや願い、社会への問題提起を具現化するためにも、人の心に響くような教会堂の空間で、多くの人に愛される建築をつくり出したい。
これが私に与えれた仕事なのだと改めて自分自身に言い聞かせている。
by atelieryou
| 2011-11-01 19:05
| 設計